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楽園の愚者達

第七章

 千春の病は、才国でも例のない進行を遂げた。左足を失い、臓器の一部を失い、その後半年間を通じて、再び右手を失った。
 幸い彼女がはじめて義足を繋いだときに現れた拒絶反応のデータは、その後の移植には有効に働いた。義体機器の移植が盛んな才国にも、これまで一個人の身体に、幾つもの義体機器を移植した例はない。
 彼女は被験者として、これまでにない貴重な資料を提供することになる。しかし、その身柄には、厳重な警護がついた。才国の誇る最新鋭の試作品を、千春はその身体に秘めているも同然なのだ。技術に対する特許の受理や、国が定めた安全基準の審査など、多くの過程を経て、試作品が商品として一般に流通するまで、その立場が続くのだ。
 過酷な環境にも思えるが、千春は持ち前の前向きな考え方で、悲観することはなかった。
 彼女の行動範囲はもともと広くない。生活空間に制限をかけられたところで苦痛はなく、研究員である貴秋との隔たりが少なくなったことを、素直に喜んでいた位だ。
 けれど、貴秋は彼女から自由を奪ったのだと、未だに罪悪感を抱き続けていた。
「千春、義手の調子はどうなの?」
 貴秋は施設内の離れにある千春の部屋に来ていた。彼女はゆっくりと右手をにぎったり開いたりして「この通り順調よ」と笑っている
 離れにある建物は、本来はエデンに勤める職員や研究員の寮でもあるのだ。被験者はその程度によってランク分けがあった。千春のレベルになると、多くの制約と条件があるが、全てを満たし、認められれば生活は保証された。
 才国の法によって守られているのだ。
 千春は経過によって入退院を繰り返すことも多かったので、自分の住まいが病棟に近いと便利が良い。すっかり気に入った様子で不満を言わないが、貴秋はやはり気になってしまう。
「かなり動くようになったね」
 義手になった右手を見ると、千春は義足の時のように胸を張った。
「あのね、もう文字が書けるようになったの」
「ええっ?」
 貴秋が驚いた声をあげると、千春は嬉しそうに笑った。
「私は順応力に長けているんだって。年配の人と比べると、若い人の方が、圧倒的に慣れるのが早いみたい。言葉を覚えることと同じなのかしら」
「ああ。うん、そうだろうね」
 出会った当初は中庭、病が再発してからは病棟で過ごした休憩時間だったが、今はほとんど千春に与えられた部屋で過ごしている。
 千春は食後の紅茶を二人分淹れて、コトリと食卓の上に並べた。貴秋は「ありがとう」と言って手に取る。彼はそのまま上目づかいに千春を見た。
「今住んでいる部屋を引き払って、僕も寮に入ろうかな」
「空いている部屋があるものね」
「そうじゃなくて、ここで千春と一緒に住もうかな」
 一瞬、その場に空白が生まれた。千春は一呼吸遅れてから「え?」と言って、顔を真っ赤にする。その様子が可笑しくて、貴秋は面白そうに笑った。
「千春は可愛いなぁ」
「もうっ、貴秋。莫迦、人をからかって」
「ごめんごめん。だけど、千春は独りで淋しくない?」
 冗談まじりに今の生活に対してどう思っているのか尋ねる。千春は頬を膨らませていたが、彼の言いたいことを察して、吐息をついた。
「私、今は独りじゃないわ。貴秋がいてくれるもの。貴秋は、いつまでも遠野家とのことを気にしているのね」
「どんな事情があっても、千春の両親だったわけだし。縁を切る必要はなかったのかもしれない」
「この際だから、本音を告白しておくわね」
 千春は紅茶を一口含んでから続けた。
「私、本当のお父さんとお母さんを亡くしてから、いつでも自分のことを幸せだと思っていようと頑張っていたの。両親に笑顔を届けようって。約束を守りたかったから」
「うん、知っているよ。僕は気がついていた」
「じゃあ、話は早いわ。遠野家に養女に入ってから、私は幸せじゃなかった。頑張ってそう思い込んでいただけで、本当はとても辛かった。自分よりも不幸な境遇の人達だっているから、私は幸せだと考えるようにしていたけど。そんなの、本当の幸福感とはほど遠い。ずっと分かっていたけど、分からないふりをしていた」
「うん」
「遠野家の養父母には、息子が二人いたの。私より五つ年上の義兄と、三つ年下の義弟。義弟はまだ幼くて無邪気で、あの家では私の救いだったかもしれない。義兄は最悪だった。私の左足に病気の兆候が現れて、才国へ渡って治療を受けることが決まった日。彼は私の部屋を訪れてきて、乱暴を働こうと襲ってきたわ」
 貴秋はあまりの事実に言葉を失った。千春は思い出すだけでおぞましいという顔をする。
「遠野家で暮らすようになってから、義兄がそういう目で私を見ていることは、ずっとうすうす気付いていた。だから、極力、彼とは二人きりにならないように避けていたくらい。幸いその時は養父が駆けつけて、止めに入ってくれたけど。義兄は悪びれた様子もなく、私が家を出る朝に、教えてくれた。養父母が私を遠野家に迎えた理由を」
「理由?」
「そう。私の相続した両親の遺産が目当てだろうというのは知っていたわ。だけど、彼が言うには、それだけじゃないって。養父はいずれ私を手篭めにしようと狙っていると言うの。そのためだけに、お前を家に迎えたんだって。そして、その思惑に気付いている養母は私を心底嫌悪していると言うの。いずれ、遠野が取引している得意先へ、機嫌取りのために私を差し出すつもりでいるんだって。お前はあまりに可愛いから、利用価値があって、それが養父母を狂わせているんだって、そんなことを言っていた」
「そんな、莫迦なこと」
「だけど、きっと本当のことだったのよ。病気が再発して、養父母が私を見捨てたときに、そう思った。これからの医療費と、私の利用価値を天秤にかけて、彼らは私を見捨てることを選択した。病気が治っても、私に与えられる環境がそんなものなら、私は帰国して死んでしまった方が幸せだろうと思えたわ。本当は悔しくてたまらなかったけど、それなら、せめてこれが幸せなんだって、そう思っていようと決めた」
「自分は幸せだと?それでも、そう思い込んでいたの?」
 千春は自嘲的に笑った。淋しそうに伏せられた眼差しが、わずかに潤んでいる。
「可笑しな話でしょ。だから、貴秋が勝手なことをしたと、罪悪感を抱える必要はないの」
 千春は強がって、零れ落ちそうになった涙をごしごしと手で拭う。無理に微笑えもうとするのが、たまらなく切ない。やり場のない憤りで、胸が一杯になる。貴秋はすぐに食卓の椅子から立つと、座ったままの千春を背中から抱きしめた。無理に明るく振舞う彼女を見ているのが、辛かった。
「泣いてもいいよ。僕の前では、頑張らないで」
「うん。――貴秋が、私のことを幸せじゃないって言ってくれた時、本当はほっとした。誰かがそう言ってくれるなら、天国の両親も仕方ないと思ってくれるかなと、そう思ったの。あの時、私のことを思って、生きていてと言ってくれた貴秋の気持ちは、とても嬉しかった。本当の両親以外にも、そんなふうに言ってくれる人がいるんだって。だけど、貴秋のこれからを考えると、甘えてはいけないと思ったの」
「――うん」
「私の病気は治るのかどうか判らない。貴秋にたくさん守ってもらったのに、私は恩返しもできずに死んでしまうかもしれない」
「ちょっと、何を弱気なこと言っているんだよ。千春の病気は治る。それにね、僕は千春の身体が全て義体機器になったって、千春が生きていてくれたら、それだけで嬉しい」
 力を込めて語ると、千春はくすくすと笑った。
「ありがとう。だけど、私の方がずっと貴秋に悪いことをしたのではないかって思うの」
「そんなことない」
 千春は自分の体に回された貴秋の腕を、右手で撫でる。
「私、ケビンと賭けをして負けたの」
「ケビンと?」
「うん。すごく厳しい顔をして病室に来たのを覚えているわ。貴秋の気持ちに答えられないなら、はっきりとそう伝えろって言われた。ただ命が惜しくて完全に突き放すことをしないのは、卑怯だって」
「ケビンがそんなことを?」
「そうよ。すごく貴秋のことを好きなんだなって、羨ましいくらいだった。だけど私にはあんまりに無神経で、頭にきて喧嘩になったの。私、命が惜しくて迷っていたわけじゃないわ。もちろん死にたくはなかったけど、貴秋のことはずっと変わらず好きだったし。拒絶しているのも辛かった。だけど、ケビンは命が惜しいから、好きでもない貴秋を突き放すことができないのは卑怯だって言うの。だから、そうじゃないって、思わず自分の本音を怒鳴ってしまった。言いながら涙が溢れてきて、最後の方は何を言っていたのか、わからない位だったけど」
「あいつ、何を考えていたんだろう。――それで、僕が訪れた時、泣き腫らした顔をしていたんだね。だけど、本当にケビンと喧嘩していたなんて」
 貴秋は千春を離して、呆れたように深く息をついた。千春はおかしそうに笑っている。
「だけど、ケビンはただ私に本音を言わせたかったみたい。そのために、わざとそんな言い方をしたのよ。私が本音を言って泣き出たら、はじめから素直にそう言えばいいんだって、そう言ったの。貴秋が好きなら、意地を張らずに甘えろって。貴秋は見た目よりずっと強い男だから、そんなことで駄目にはならないって言うの」
 貴秋は驚きを隠せず、目を見開いた。
「ケビンが?」
 千春は頷く。思わず確かめてしまったが、貴秋にも心当たりはあった。ぶっきらぼうに
「千春と出会ってから変わった」と言われたことを思い出す。
 あの時に、彼が二人の行き違いを正してくれた。千春とケビンの間に、そんなやりとりがあったことが、嬉しかった。
「二人は仲が良いんだなって、改めて思ったけれど。それで、ケビンと賭けをしたの。ううん、本当は、貴秋を巻き込んではいけないと迷っていた自分とだったのかもしれない。彼は、私が貴秋のことを大嫌いだと突き放して、それでも貴秋が諦めなかったら、私の負けだと言うの。それで、賭けに負けたら、貴秋に本当の気持ちを言えって。今、思うと、ケビンは絶対に貴秋は諦めないって自信があったんだと思う。だって、貴秋が諦めた時のこと、何も言わなかったもの」
 千春は思い出しながら「よく考えると、全然賭けになってないわ」と笑った。
「そんなことがあったんだ」
「うん。私ね、今は心から自分のことを運が良かったって思えるわ。試作品の被験者だとしても、おかげで生きていられるもの。臓器が手に入らずに、亡くなっていく人もいるでしょう」
「だけど、多くの制約がある」
「死んでしまうよりはずっと良いわ。生きていられる環境を与えられて、何かあっても、最善の対処をしてくれる。貴秋も傍にいてくれる。本当に恵まれていると思うの。だから、貴秋は何も気にしないでね」
 千春は本気でそう思っているらしく、迷いがなかった。彼女が笑ってくれると、貴秋の中にあった罪悪感も軽くなる。
「私も貴秋を巻き込んだことを、時々これで良かったのかなって思うけど。でも、後悔しないことに決めた。甘えてみることにしたの。両親が願ったとおり、幸せになろうって」
「うん。絶対なれるよ、幸せに」
「貴秋も一緒にね」
「もちろん。二人でなら幸せになれる」
 断言してから、貴秋は「よしっ」と気合を入れて、脱ぎ捨てて椅子にかけてあった白衣を手にした。ポケットに手を突っ込んで小さな箱を取り出す。
 千春は差し出された小箱を目の前にして、言葉を失った。
「ずっと、いつ渡そうかと迷っていたんだ。千春、これを受け取って」
「――これ」
 千春はそっと手を伸ばして、まだ少しぎこちない動作の右手で受け取った。
 濃紺のビロードをはられた、小さな箱。蓋を開けると、純白の光が煌いていた。環を飾る、どこまでも澄明で、美しく切り込まれた石。
 誰が見ても疑いようのない、婚約の証だった。
 千春が指輪を取り出すと、貴秋が彼女の左手を取る。手を伸ばして千春から指輪を受け取ると、そっと薬指に徹した。
「千春、もう少し元気になったら、結婚しよう」
「……うん」
 千春が深く頷くと、涙が頬を伝って零れ落ちた。貴秋が指で涙を拭うと、千春は泣き濡れた顔で笑った。
「ありがとう、貴秋」
 二人の揺るぎない気持ちが響きあう。けれど、想いとは裏腹に、この約束が果たされることはなかった。
 千春の病が、再び発症したのだ。―――それは、命を苛むほどに。


 再発の兆しは、視野の狭窄からはじまった。施設の通路を歩いていても、千春は横を通り過ぎる患者や看護士とぶつかることが多くなった。
 視野の端が両側から欠けているために、彼女は正面を向いたままでは、隣を行き過ぎる人影が見えなくなっていたのだ。
 痛みを伴わない為に、千春は気がつかなかった。先に何かがおかしいと思ったのは、千春の身近にいた貴秋だった。彼が隣に立っても、千春は声をかけるまで気付かない。
 驚いた顔をして貴秋を振り返る。そんな仕草が明らかに増えた。
 貴秋が担当医にそのことを話すと、すぐに検査が行われた。
 検査の結果、千春の視野は健常者の半分にまで狭くなっていた。左右に百二十度方向まであった視野は、既に六十度方向まで失われていたのだ。
 病状が脳の一部に現れたのが原因だった。千春は、間違いなく病に蝕まれていた。
 このまま症状が広がれば、やがて間違いなく命を落とす。しかし、治療を施す手立てがない。担当医が語った事実は、貴秋に絶望だけをもたらす。
 奈落の底へ突き落とされ、這い上がる術は与えられなかった。
 千春の命を守る方法がないのだ。
 彼女の前では、何事もなかったように振舞っていたが、貴秋は悲嘆に暮れていた。あまりの憔悴ぶりに、ケビンもかける言葉がなかったほどだ。
 トップラボのクロードは、研究に身の入らない貴秋に一週間の謹慎を言い渡した。彼の絶望を察しての配慮であり、それは当初、わずかに効果があったのかと思われた。
 謹慎が解けて一週間ぶりに現れた貴秋は、別人のように覇気を取り戻していたのだ。研究への取り組み方にも、鬼気迫るほどの熱意がこもっていた。
 これまで千春と過ごしてきた時間の全てを、研究室に閉じこもって過ごすようになった。
 当時、トップラボが一番に力を注いでいた研究は、義脳の開発。
 貴秋は、その試作品となる研究の第一線に携わっていた。
 病気や事故で欠損した人の脳に対して、その失われた部位を補うことを最終目的とした研究。いずれは脳の一部として移植可能な義脳となる技術。
 トップラボの研究は、既に財団との契約の上に成立していた。
 しかし、貴秋は許されない望みを胸に抱いた。その研究成果を、千春の命綱にしようと決意したのだ。
 まだ移植を前提とされていない、未完成の義脳。千春が無事でいられる可能性は極めて低い。それでも、このまま諦めることは出来なかった。
 刻々と千春の命が蝕まれて行くのを、何もせずに見ていることが出来なかったのだ。
 名誉と信頼、そして親も友も、手に入れた夢も、全てを捨てても、彼はただ千春を守りたかった。なぜ、これほど彼女に生きていて欲しいと望むのかはわからない。
 非力な少女が、決して幸せだとは言えない環境を生き抜いてきた。不運な境遇の連続でも、ただ自分を守って死んでいった両親の想いに応えようと、挫けずに立ち向かった一途な姿。
 彼女と出会うまで、貴秋は気づかなかった。
 彼女と出会わなければ、ずっと気づかないままだったに違いない。
 自分が幸運であることすら判らないほど、恵まれた環境に生きてきたこと。
 甘えきっていた自分に対しての、罪悪感。過酷な現実を乗り越えてきた千春への、同情。
 彼女を守らなければ許されないような気がしていたのかもしれない。今まで甘えて生きてきた自分が、千春を幸せにすることによって、何かに認められる。自分が、自分を認められる。そう思えたのかもしれない。
 あるいは、二人を引き裂く悲劇。それに立ち向かう自分に酔っていたのだろうか。
 わからない。わからないけれど。
 ただ、最後に残った気持ちは。
 千春のことが、本当に好きだった。自分を忘れるほどに好きだったのだ。
 彼女を抱きしめて、いつまでもその形を確かめていたかった。失いたくなかった。
 笑って傍にいてくれる幸せ。それ以上の至福を、貴秋は思いつかなかった。
 思いつめた心持ちで、彼はひたすら無謀な手段を成しとげる方法を考えた。
 やがて彼が全てのシナリオを完成させた時、病状についての真実が、千春にも知られてしまった。
「貴秋。千春にばれたらしいぞ。担当医が全部説明してしまったらしい」
 教えてくれたのはケビンだった。彼は帰宅のために私服に着替えていたが、経緯を聞いて、慌てて貴秋の研究室へやってきたという感じだった。
 貴秋は驚くこともなく、デスクの椅子にかけたまま「そっか」と答えた。
「千春はずっと疑っていたからね。無理もない。ばれるのは時間の問題だろうって思っていたから」
「――そうなのか」
「うん。ケビンこそ、ヘレンの状態はどうなの?」
 この状態でそんなことを聞く貴秋に、ケビンは一瞬眉を潜めた。
「何とか保っているけど。そんなことより、千春の所へ行かないのか」
「行くよ、もちろん」
 貴秋は立ち上がって、真っ直ぐにケビンを見る。
「ありがとう、ケビン」
 いつものように振舞おうとしても、彼に向ける言葉に、自然と多くの思いがこもってしまう。
 貴秋は、既に親友を裏切ることを決意していた。ケビンの妹は白血病を患っている。彼らの親類であるウォーレンサー家に骨髄の適格者があったが、ウォーレンサー家は強欲で、その命綱となる骨髄に法外な値をつけた。
 妹を助けるためには、ケビンはその浅ましい要求をのむしかない。彼はこれまで携わってきた研究成果が無事財団との取引を終えれば、そこから与えられる報酬で、一族から骨髄を買うことになる。
 貴秋は、その研究成果を、千春のために使おうとしているのだ。財団との取引が果たされることはない。
 もちろん彼の妹であるヘレンの死を願っているわけではない。財団との取引を反故にしても、無事にその要求額を工面するための方法も考えてあった。
 それでも心を許せる親友に、彼は何も打ち明けずに姿を消すつもりだった。その後、どれほど彼に憎まれるのかは、今からでも想像がつく。
 ケビンは貴秋の様子がおかしいことに気付いたが、何も言わなかった。余命いくばくもない恋人を思って、貴秋が狼狽しているのだと考えたのだろう。
「とにかく、早く傍に行ってやれよ。千春、きっと泣いているぜ」
「うん。そうだね」
 貴秋はもう一度、ケビンをしっかりと見つめた。明るい黄味の強い金髪。南国の海洋を映した碧眼。貴秋よりも長身の体躯。研究室の中で、いつでも当たり前のように隣にあった気配。
 同じ志で、同じ夢に向かって歩いてきた。
 彼を失うことを、決して悔やんだりはしない。貴秋が諦めた夢は、彼が果たしてくれる。
 二人で語り合った理想。
 貴秋はそこに辿り着く資格を失うけれど、いつかケビンが辿り着いてくれるのだ。
「行ってくるよ。ありがとう、ケビン」
 扉口に立っていたケビンの横を、貴秋はすり抜ける。そのまま二度と振り返ることなく、千春の病室へ向かった。


 貴秋が病室を訪れると、千春はほとんど像を結ばなくなった瞳でこちらを見た。視野の狭窄は広がりを見せなかったが、かわりに視力が低下した。視界に映るものの輪郭はぼやけて、滲んだように形を失っている。
 貴秋の姿を見分けることも困難になっていたが、決して間違えることはなかった。
 千春は取り乱した様子もなく、寝台に半身を起こしていた。
 久しぶりに見る彼女は、ますます色白になって、透けそうなほどだった。
 初めて彼女を見たときの、淋しげな可憐さが蘇る。
「千春、淋しかった?ごめんね、ずっと独りにして」
 謝ると、彼女は首を横に振った。
「ううん。ケビンに聞いていたわ。貴秋は研究で大切な企画を任されているから、大変なんだって。ずっと研究室にこもっているって」
「――そっか。……だけど、もう一段落したから、傍にいられるよ」
 いつもの椅子にかけると、千春は自嘲するような笑みを浮かべた。
「私、やっぱり貴秋に何もしてあげられないみたい」
 病状を知ったのだから、千春が絶望しているのは間違いない。貴秋は彼女に近づいて、両手でしっかりと小さな白い手を握る。血の気を失って、指先がひやりと冷たかった。
「千春は生きていられるよ」
「気休めはいいの。――もう、覚悟はできているから」
 独りで諦めてしまった千春を、貴秋は小さく叱咤する。
「諦めないで。本当に千春は生きていられるんだから」
 何の説明も与えず強く断言すると、千春は強く貴秋の掌を握り返した。激しく首を横に振って「怖い」と呟いた。
「大丈夫だから。絶対に君を死なせたりしない」
「違うの。私は、生き延びることが怖い。だって、貴秋、あなたは何を考えているの?私のために、また何か無理をしていない?」
 見事に胸中を見抜かれて、貴秋は反応が遅れた。千春は彼のわずかな狼狽から、まるで全てを察したように、ただ首を横に振り続けた。
「私は嫌。貴秋が全てを失うのは、絶対に嫌なの。私のために、周りの人を、ケビンを裏切ったりしないで。貴秋の夢を、これからの人生を棒に振ったりしないで。お願い」
 千春は全てを知っているのだと、貴秋にはわかった。トップラボの研究は、いまや財団との取引を間近に控えて、世間を騒がせるほどである。彼女はその取引が、ケビンの妹の命綱となっていることも知っている。こんな状況に陥る前は、三人でヘレンの無事を願っていた。
 けれど、この局面を迎えて、千春は一つの考えに辿り着いたのだろう。
 貴秋が道を踏み外してまで、ただ一つの命を求めてしまうこと。
 まだ諦めてはいけないと。
 生きていられるのだと。
 千春に語る言葉から覗く、彼の強い決意。
 まさかと思って打ち消していた推測が、現実のものになろうとしている。千春のもっとも恐れていた成り行きを、貴秋は迷わず進んでいこうとしているのだ。
「貴秋、お願い。ここで私に誓って。絶対に、誰も裏切らないって」
「――千春」
「お願いだから、約束してっ」
 悲鳴のような声で、千春は訴えた。貴秋は眼差しを伏せる。
 この選択が、どれほど彼女を苛むものだとしても、諦めることはできなかった。自分の命が長くないことを知りながら、それでも彼女が恐れるのは、自身の死ではない。
 貴秋の未来を奪ってしまうことなのだ。
 千春は既に、自身の命には執着していない。貴秋の幸せだけを願っている。
 自分のやろうとしている行いは、彼女の思いを踏みにじって、その命を弄ぶことに等しい。
 ――それでも。
「お願い、約束して」
 泣き出しそうな顔で訴える千春を、貴秋は両腕でつかまえる。強く抱きしめて、その髪に頬を埋めた。温かい体。間違いなく響いてくる鼓動。
 この愛しい形を失うことなど、できるはずがない。
 諦められない。
「約束して」
 腕の中から、千春の声が繰り返している。貴秋は涙が溢れて止まらなかった。
「――わかったよ」
 千春は貴秋の胸に頬を押し当てたまま、
「約束よ」と呟いた。それでようやく自身の死を思い、二人の別れを思って、涙を零した。
 貴秋が彼女を引き寄せる腕に力を込めた。
 約束を果たすことは、絶対に出来ないのだ。偽りの誓いが、貴秋を苛む。
 どれほど憎まれても、恨まれても、彼女の命を諦めることは出来ない。危険な賭けであっても、無謀な手段だとしても、手を伸ばさずにいられない。すがってしまう。
 彼は声を殺して、泣き続けた。


 千春の病室を出ると、通路の窓から夜景が広がっていた。すっかり日が暮れて、黄昏の光は跡形もなく失われている。
 貴秋は通路で佇み、込み上げてきた哀しみを堪えた。気を抜くと、その場に伏して大声で泣いてしまいそうだった。歯を食いしばって、白衣の袖で目元を拭う。
「――貴秋」
 ふいに声をかけられて、貴秋はぎょっとした。通路の照明は明度が低く、視界が開けるほどの光量がなかった。薄い闇の中で、壁に寄りかかっていた影が身を起こす。
 まるで悪魔が歩み寄ってくるような錯覚に陥って、貴秋は自身の抱えた罪を暴かれるのではないかと息を呑んだ。
「今から、少しだけ時間をもらえるか」
「涼さん」
「俺も博士も、おまえに話があるんだ」
「はい、僕も相談しておきたいことがあって。今から伺おうと思っていたところです」
 現れた涼はただ頷いた。
「クロード博士が研究室で待っている」
「はい」
 貴秋は促されて、研究棟へと向かう。午後五時が終了時刻である研究棟は、耳が痛くなるほどの静寂に包まれていた。
 二人で言葉もなく歩いていると、自身の鼓動が苦しいほどに響いた。クロードの研究室へ入ると、彼は優雅な仕草で貴秋を振り返る。勧められるままに、彼は傍らにあるソファにかけた。向かい側には、二人が腰を下ろす。
 貴秋は自身の目論みを見抜かれているのではないかと不安になる。あり得ない妄想だと打ち消すが、二人を前にすると更に鼓動が高まって行く。掌が汗で湿っていた。
「博士、僕にお話とは」
 問いかけると、クロードの口元が浅く笑みを形作った。
「では、率直に伺いますが。貴秋、あなたは何を考えているのですか」
「え?」
 思わずうろたえると、彼は口元に笑みを浮かべたまま、容赦のない厳しい眼差しを向ける。
「千春の病が、ついに脳の一部に発症しました。この事実を受けて、あなたが何を考えているのかと聞いているのです」
「僕は、別に。――ただ、哀しんでいるだけです」
 緊張が密度を増す。クロードの抱いている嫌疑を、彼は理解した。どうして、という思いと、やはりという思いが行き交う。何とかごまかす術を模索するが、頭は空回りするばかりだった。視線を伏せると、隣の涼が助け舟を出すように話題を転じた。
「おまえはさっき、博士に相談があると言っていたが、何だったんだ?」
 貴秋は二人の嫌疑を刺激しない言い回しを考えるが、見つからなかった。黙っていても仕方がないと、とにかく思っていた通りに打ち明けた。
「それは、今携わっている研究の特許についてです」
「特許?」
「はい。トップラボがチームとして所得するものとは別に、個人に発生する特許があります。僕に与えられる特許は、売却が可能でしょうか」
 クロードは涼と顔を見合わせてから、再び貴秋を見る。
「今回の研究に限っては、財団に譲渡する特許も多くあります。こちらが得る特許については、あまりお勧めはできませんが、売却は可能です。しかし、一般的にトップラボや取引先の独占権を守るために、チームが買い取る方法しか認められません。一般的に売買される特許に比べて、この場合の買値は低いのです。用途が多く、優れた特許の場合は、自身が手にしている方が、はるかに利益を生みます」
「それは知っています。とにかく、チームに買い取ってもらうという方法があるのですね」
「特許を売却するつもりなのですか。何のために?」
 貴秋は答えることが出来ず、唇をかんだ。クロードが溜息をつく。
「貴秋の考えていることを、当ててみましょうか。あなたは自身に発生する特許をケビンに譲るつもりでいるのでしょう。理由は、ウォーレンサー家からヘレンに提供できる骨髄を買うためですね」
「そんな、‥‥‥違います。だって、ヘレンの移植費用はケビンに与えられる報酬で片がつくのに」
 慌てて否定すると、クロードは再び吐息をついた。黙って話を聞いていた涼が、ソファに預けていた上体を起こす。
「甘いな、おまえは。そんな詭弁が俺や博士に通じると本気で思っているのか。おまえは研究成果を千春のために使おうと考えている。だから、ずっと研究室に閉じこもって、これまでの研究を振り返っていたんだろう。千春に移植することが可能かどうかを考え続けていた。しかし、自分が研究成果を奪ってしまえば、当然財団との取引は先送りされる。ケビンは報酬を手に入れることが出来ず、ヘレンの命を救うことができなくなる。それを避けるために、おまえはケビンに自分の特許を譲っておこうと考えた。――違うのか」
 貴秋は答えらず、指先が白くなるほど強く手を組み合わせた。
「それはあまりに無謀な手段です。考え直しなさい、貴秋。研究成果の全体像を見たのであれば、理解できるはずです。義脳はまだ人の移植には対しては、ほとんど未完成なのです。あなたが千春を殺してしまうのですか。莫迦なことを考えずに、諦めなさい」
「それは、‥‥‥できません」
 俯いたまま、貴秋が小さく漏らした。見なくても、二人が吐息をついたのが判った。
「僕には諦められない。たしかに義脳は移植を前提にすると驚くほど未完成ですが、千春が患っている部位は、運良く出来上がっているんです。これが、どれほど無茶なのかは判っています。それでも、千春が生きていられるのなら、その可能性があるのなら、迷わない。二人が止めるなら、僕は二人を殴り倒してでもやり遂げてみせる」
 自分でも何を言っているのか、貴秋もわからなくなっていた。要領を得ない訴えを、二人は困ったように聞いている。
「彼女が果たそうとしている、亡くなった両親との約束を破らせたりはしない。千春は、絶対に死んでしまってはいけないんだ」
 クロードは軽く額をおさえてから、顔をあげた。心なしか口元に笑みが蘇っているような気がする。貴秋が緊張を漲らせたまま、掴みかからんばかりの勢いで睨んでいると、彼はふっと表情を緩ませた。
「婚約すると言い張った時と同じですね」
「――博士?」
「そうでしたね。あなたはとっくに覚悟を決めていた。言い出したら聞かない。どれほど無謀でも、無茶を通す。そして、想いを貫くのですか」
 クロードの声は優しい。この状況で穏やかさを取り戻した彼の様子に、貴秋は半ば呆けてしまう。
「貴秋、トップラボのよしみで協力は惜しまないと言いましたね。覚えていますか」
「――まさか」
「そのまさかです。私達なりに、シナリオを用意しておきました」
「だけど、博士達の立場が」
「心配には及びません。ヘレンの骨髄も何とかなるよう、手筈を整えてあります。ただ、あなたがケビンを裏切る形になるのは、どうしようもない。親友に憎まれても、後悔しないのですか」
「後悔はしません。もし僕が全てを打ち明けたのなら、ケビンはきっと力になろうとする。僕に巻き込まれて、彼まで道を踏み外すことはない。ケビンには、ケビンの目指した道を歩き続けていて欲しい」
「なるほど、わかりました。では、未完の研究成果を千春に移植するリスクについてはどうなのです。覚悟はいいのですか。千春が無事でいられる可能性は極めて低い。私達も移植の執刀には力の限りを注ぎますが、どのような結果が待っているのかは、想像もつきません。それでも、あなたは望むのですか」
 問いには答えるまでもない。
 貴秋は掌で顔を押さえた。目の前の二人が移植手術を行うのであれば、これ以上はない最高の手段だった。
 膝に額をこすりつけるのではないかと言うほど、ソファにかけたまま深く頭を下げる。千春の養父母に手をついて頭を下げたときのように悔しさはない。心から現れた感謝の気持ちだった。
「ありがとうございます」
 独りで闘わなければならないと思っていた成り行きに、一条の光が射したようだった。信じられない思いで繰り返す。
「ありがとうございます、博士、涼さん」
「感謝する必要はありません。貴秋、覚えておきなさい。私は優しい人間ではありません。私達には、私達の思惑があるのです。あなたに手を貸すのには、それなりに理由があります」
「理由?」
「ええ」
 クロードは微笑んだが、自嘲的な色が浮かんでいた。貴秋はわずかに危惧を抱いたが、彼らの助けが有り難いことに変わりはない。試作品の経過が得られる絶好の機会であるとでも考えたのだろうかと、彼らの思惑を聞き流した。
「とにかく、千春に研究成果を移植することから始めなければなりません。移植については、私と涼で執刀します。あなたは私達が用意した成り行きの通り振舞ってください」
「はい、感謝します」
 逃避行の成り行きは、こうして整えられた。千春に一切を打ち明けることのないまま、貴秋は始めてしまったのだ。呵責は錘をつけて、胸の奥底に沈めた。
 彼は未完成の義脳を移植された千春を連れて、才国を出た。島国に用意されていた生活は、千春が目覚めるまで、自分との闘いだった。
 やがて目覚めた千春は、自身に関わる全ての記憶を失っていたが、それでも貴秋にとっては奇跡だった。彼女が生きて、傍にいてくれる。笑ってくれる。
 貴秋の想いは報われた。報われたと思っていた。もう二度と後悔はしないと思えたのだ。
――彼女が苦しみ、涙を流すまでは。
 自身の犯した罪が、再び浮かび上がってくる。胸を苛む罪悪と共に、奥底に沈めた筈の罪が、くっきりと形を現して、同時に貴秋の弱さを突きつけた。
 ごうごうと、風が鳴っている。視界を遮る雪の群れ。
 はじめから、全てが間違えていたのだろうか。彼女との出会いが、想いを寄せたことが。それとも、生きることを無理強いしたことが。
 身を切るような寒さが、貴秋を現実へと引き戻した。
「千春!」
 声の限り、何度も呼びかける。時折、千春の背を見失いそうになりながらも、貴秋は懸命に後を追いかけていた。



 緩やかな勾配を上りきると、見渡しきれない空き地が広がっていた。地面が剥き出しの丘からは、晴れた日には遠くの街並みまで見渡すことが出来る。
 千春が家を飛び出してから、吹きつける雪はひどくなる一方である。一望できるはずの下界は、白く染められた空間の向こう側に消えていた。
「千春、待って」
 少しずつ間をつめて、貴秋は彼女の背中を追う。千春の足取りが、急激に鈍くなった。左足を引きずるようにして、それでも懸命に前へ進もうとする。踏み出した勢いでふらりと上体が揺らいだ。彼女はバランスを崩して、その場に転倒した。
「千春!」
 背後まで迫っていた貴秋が駆けつけて、強く右腕をつかんだ。千春は苦しげな呼吸を繰り返して、朦朧としている。捕まえた身体を引き寄せると、この吹雪の中で熱いほどの体温が貴秋を刺激した。何も羽織らずに出てきた彼女は、薄着に凍えるどころか、身体が焼けるような熱に包まれている。
 寒さによって貴秋の感覚が麻痺しているのだとしても、異常な体温だった。
「離して……」
 千春は腕にか弱い力を込めて、貴秋の腕を押し戻そうとする。走っただけの息遣いでは説明のつかない呼吸困難を起こしていた。まるで熱に浮かされているような喘ぎ方だった。
 伸ばされた腕から逃れようと身動きするが、ぐったりとした動きになる。
「先生、私は、……千春の代わりには、なれない」
 貴秋が身体を支え、吹雪から守るように抱き寄せると、彼女はうわ言のように繰り返す。
「私は、千春じゃない」
 発熱に苦しみながら、千春は涙を零した。幾筋も頬を伝っては流れ落ちる。貴秋は泣き顔を見ているのがたまらなくなって、彼女の顔を強く胸に押し当てるようにして抱きしめた。千春は既に抗う力を失って、大人しく胸に抱かれている。
「違うんだ、千春。僕が傍にいて欲しかったのは、君なんだよ」
「……違う」
「君が千春。遠野千春、僕の婚約者なんだ」
「嘘よ。私は偽者だもの。だから、先生。この想いを消して。先生を好きだと思う、この気持ちを消してほしいの」
「そんなことはできない。千春、わかって」
「じゃあ、私を壊して」
「君は人型じゃない」
 貴秋がますます、彼女を抱く腕に力を込めた。細い身体が、折れてしまいそうなほどに儚い。
「全てを忘れても、笑ってくれるならそれで良かった。だけど、そんなふうに自分を否定して、追いつめてしまうのなら、思い出して。僕とのことを、思い出して。千春」
 彼女が目覚めてから、記憶が戻ればいいと願ったことはなかった。全てを知ったのなら、千春が苦しむことは判っていたのだから。
 全てを捨てて千春の命を望んだこと。彼女は貴秋の愚かな選択に、哀しむだろう。
 約束を破った貴秋を責めて、恨むのかもしれない。
「思い出して。僕の気持ちだけでもいいから」
 どれほど、千春のことを好きだったのか。それだけでいいのだ。
 記憶をなくしても、彼女はもう一度貴秋に想いを寄せた。思いも寄らない誤解の上に、彼に愛されないことを嘆いている。
 義脳の移植は、千春から悲しい過去と共に、思い出を奪った。未完成であったことが原因であれば、貴秋が願ったところで、記憶は二度と戻らないのかもしれない。
 けれど、今、千春の中には同じ気持ちが生まれたのだ。
 記憶を失う前と同じに、貴秋を想う気持ち。
 思い出を失った彼女に、自分の揺るぎない想いが届くことを願うのは、我儘だろうか。
「僕は、君が好きなんだ。他の誰でもない、君だけが。……生きていてほしかったんだ」
「……私――」
 何かを伝えようとした千春の呟きは、そこで掻き消える。貴秋の腕の中で、眠りに落ちるように、彼女は意識を失った。
 激しく舞い狂う雪の白さが、辺りを銀世界へと変えてゆく。


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サイトup 2004.8.17